命をうばう川、恵みの川、心をいやす川

あおもりの川を愛する会

会長 佐々木幹夫

近年、雨の降り方が変わってきています。狭い範囲で集中的に大雨が降るようになっています。昨年は全国各地において台風・集中豪雨による水害が頻繁に起きた年でしたが幸いに青森県は他の地域で見られたような大きな被害を受けることはありませんでした。これも裏を返せば雨の降り方が変わったことによる青森県の状況だったといえます。いずれ青森県も大きな水害を受けるものと考えられます。

写真 1 八戸市土橋川の氾濫(1999年10月28日)


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いまから、おおよそ5年前の10月下旬、1999年10月28日の朝、青森県の県南地方は記録的な大雨に見舞われました。三戸町の国道4号は土石流のため不通となり、各地に大きな被害をもたらしました。このときの雨は一時間に30ミリ以上の雨が3時間も続く記録的な豪雨でした。どの程度の雨なのか三戸の雨量観測値を用いて調べてみると、過去80年間の雨からすると7000年に一度遭遇する大雨でした。しかし、これを、近年の20年の雨で見ると250年に1度遭遇する大雨となったのです。つまり、これは何を意味するのかというと、近年の雨の降り方は変わってきており、昔の雨の降り方は参考にならないということです。昔からこのくらいの雨しかないのだから川の水は上がってもこの程度、と思うのは間違いという事です。これまでに遭遇したときのない大雨、経験したことのないような豪雨にあう可能性はいつでもあるのだということです。近年の気象の変化は青森県の災害のポテンシャルを高めているといえます。これまでの自然災害からいえることは、水害を防ぐために、治水上必要な河川改修ならびに砂防事業は普段から進めておくべきであること、大きな自然の猛威には身を引くことです。前者は自然環境の保全と相容れないものになりがちであるが、人の命と財産を守るためには必要なものは必要であるとの考えに立ち、長い時間スケールで自然環境との調和を図る治水事業が必要である。自然の力が強すぎるときには身を引くことが重要であり、普段から洪水時の避難経路や避難場所を家族で話し合っておくことが必要といえる。


写真2 岩木川の風景 川は人のこころを和ませる

川づくりは、治水を基本にしながら、利水、親水、環境を考慮して進めることが重要です。川に行くとリラックスすることができます。川にはそういう力があります。川に行って水面をじっと見ていると安静感を味わえます。川はそういうことができます。川はひとの心を和ませ、気持ちを落ち着かせ、心をいやしてくれます。川を見ていると病気が早く治り、早く退院するという例があります。これは川が人に生きる力を与えているからです。もっと正確に言うと、それは川を見ると生存意欲が刺激されるからであり、川を見ることにより生きていこうという力がこころの中で作られているからです。川は人の心を育てます。川は風土・文化を理解し、創造していく心を育みます。しかし、川は大雨のときは大蛇のように暴れ人の命を飲み込んでいきます。でも、川は私たちに飲み水を与え、田んぼや畑の水を与え、電気を起すための水を与えてくれます。川にはいろんな生き物がいて、自然がいっぱいです。川は私たちや生き物のいのちの水を与えています。


写真3 ナイアガラの滝(2002年8月14日著者撮影)


写真1 八戸市土橋川の氾濫(1999年10月28日


写真 2 岩木川 川は人の心を和ませる


写真 3 ナイアガラの滝(2002年8月14日撮影)


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